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山
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「――出て」
橋引が車の動きを無理矢理止め、座席のドアを無理矢理開けた。
俺も動く。かいせも黙って周囲を睨んだ。
運転手も、慌ててドアを開けると外に転がり出る。四人で物陰というか、壁の角に隠れていると、どこかから人が集まってきた。
「いつバレたんだ」
「さあね。あなたたちがいちゃついていたのが目立ったんじゃなーい?」
かいせと橋引は仲が良いから、少し羨ましい。俺は冷静に思考を巡らせる。
今向かっているのは、山なので、山歩きにふさわしい格好に着替えてはあるけど、できるならあまりキツい運動はやだなと思う。
「この辺りにある山のどれかなんだが」
と事前にかいせに言われたことを、俺が細かい情報を組み立て予測してマップ化している。
目の前には、山が1、2、3とならんでいた。
またかいせが、千里眼を使い始める。
俺は、そばで情報を聞き取り組み立てていく。
やりとりをしながら、なんだか、おかしくなった。
「ふふ、ふふっ」
懐かしくて。
慣れたやりとり。
思わず笑ってしまう。
そうか。
「あん? いきなり笑い出して、なんだ色ちゃん」
かいせが、ひきつったように睨んで来るのさえ、笑えてくる。
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