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決まってない。
好意イコール必要かどうかなんて。
傘だって好きだけど壊れたら捨てる。人間もそう。好きだけど面倒なら捨てる。
「岩がある場所だったな、この辺りの地質からして」
と、俺は言った。
地質からして、雪崩はそう起きなさそうに見えている。いや、だいたい岩を落としているのだから、ご遺体は下の方、頂上とはいかないだろう。
それから、岩だがどのくらいのサイズなのだろう。
――――と。
「色様」
後ろから声。白い車が停車し、見知った男たちが寄ってきた。
「なんか知らないが、俺は戻らない」
昔から、たまにやってきた『何か』。
俺のことを知っているみたいだが俺には関係がない。四人、似たようなスーツの人たちがじりじりと向かってくる。
(だって、あんなの聞いたら笑うだろ、医者じゃなくても)
俺は特異能力科の、特例だ。でも細かいことは言いたくない。
「あなたがたが、何を調べているかは、だいたい見当がついている」
一人、目の前に出て、はははと笑う。
俺はじっと彼を見つめる。指先だけ、後ろでくいくい動かす。さっと橋引が彼の足を払う。
転んだ彼の上に、かいせが乗って、手のひらを背中に当てた。
「じゃ。教えてよ、おにいさん?」
意外と早く片が付いたことや、場所の状態からして、念力は必要なさそうだったことなどから、橋引は帰る許可を出され、先に帰っていった。
しばらく書類を書かされたり報告があった後、俺とかいせは、バスに乗り込む。空は暗くなっていた。
あとは帰宅すればいい。
「誰がそばに居たのかは、まだわからずじまいだな」
「そうだね。遺骨が掘り出されたら、まだ、少し進展するかもしれないけれど、それは俺らの仕事ではない。だが、在りそうだということだけはわかった」
さきほど、器用に逃げ出して物陰に隠れた運転手が、黙々とハンドルを握るのをミラー越しに見ながら、またぼんやりする。
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