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パスタ
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俺はいつものように、テーブルに食事を用意して、ぼんやりと頬杖をついていた。
「お前が面白いからなのかな?」
なんだよ、それ。
頭を抱えて踞る。
なんとなく泣いてしまいそうになった。
小さな頃。
藍鶴色の最初、に居た親は、
父親が不倫をしていると周りに言われて、母親もそれを信じて別れたらしい。
恋というのは、忌々しくて、少し関わっただけで、周りに恋と言われれば、それが不倫になる、
いつ自分がその輪に組み込むことになるかわからないという価値観。恐怖。
「――違うよ、それは」
その二人は、すでに互いを信じてなかった。
そうじゃないか?
その事実に挟まれる自分が、怖かったんじゃないのか?
そう思いつつも、誰かと親しくしたことが、いつのまにか誰かの生活を壊しかねないことを学んだのはかわらないだろうが。
だからこそ大人たちは浮気を隠すこと。
そして隠すものを見抜けるだけの自信がない、と。
(まぁ、そうだよな……)
好きだとか嫌いだとかを、まともに学ぶことがなければ、
その感情の偽りを見抜けるかどうかさえわからないだろう。
ひとことで言えば、信じてないというより、
テーブルの上のパスタ。自分のぶんだけ、巻き取りながら、ぼーっと考える。今日はカルボナーラだ。
(信じたものが、なにもかも嘘だったという光景を、何度も、知ってしまっているのか)
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