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帰宅
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・・・・・・
「色ぉっ!」
思わず走り寄ると、そいつは少し泣きそうな顔で、俺を抱き締めた。
「ああ、ただいま」
「お前、どこいって」
「ガキじゃない。一人で宿にくらい泊まるさ」
「俺、寂しくて」
「そうなのか」
お前は違うのかと、唇を尖らせるとキスされた。そして、すぐに離れる。
「……っ」
「俺は、これが、『寂しい』なのかわからない。いちいち考えたことがなくてな」
「考えたこと、ない、のか」
「でも、会えたとき、嬉しいと思った」
「俺も」
しばらく抱き合ってから、台所に移動する。
そのまま、べったりと引っ付いていると、今日はかいせの方が甘えている、と色は苦笑する。
「俺はわりと、甘えたがりだけど?」
「ああ知ってるよ」
「んー……この、丸まるような小さい背中。愛しい」
「うるさい。小さくない」
背中にもたれて、後ろからぎゅっとひっつく。
そいつは、俺の食べかけのスパゲティに、フォークをつける。
「お前の食事、好きだ」
「そりゃ、ありがと」
「少し、背中が重くて食べにくいな……」
「うるさい、このまま食え」
だらんとなっていると、彼がフォークを差し出してきた。そのまま口に入れる。ああ、俺のつくった味だ。
もぐもぐ、としているうちに、そいつはまた食事を再開する。
「それ食べたらさー、少し、イチャつこうぜ」
「……ん。食べてから考える」
「お前は今日は、素っ気ないな」
「寂しいのか、嬉しいのか、今の、気持ちが、わからない」
小さい頃俺は一人だった。あいつも。誰も彼も。
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