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皿洗い
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◇
「なぁ」
食器を洗いながら、呟くように、言う。
かいせは意外にも聞いていたようで、顔をこちらに向けながら、椅子に座っていた。
「なんだ?」
「正しいことって誰が決めるんだろうか」
「なにか、思い出したのか」
かいせは、クスクスと笑って俺に抱きついた。
「……皿洗いは、後にしようぜ?」
「いやだ。片付ける」
「えー」
すがったもの、何もかもが最後は手を切るのはお約束。
『お前がやったんだろ?』
誰もが。
最後は俺を信じなくなって一気に襲いに来るのが決まっている。
可哀想だから、俺が殴られて許してあげるのがいつも礼儀だった。
たまに、依頼主にも気持ち悪い同情をしてくるやつがいる。
俺が傷つくからといって、それが今更なんだと言うのかわからない。
相手はかわいそうなんだ。こちらが許してあげなきゃいけないんだ。
自分を大事にしたって、それが、なんなのだろう。
ちょっと怪我するくらいでわめくなど、生意気なやつだと思われるじゃないか。
皿をあらって、棚にしまってから、正面から相手を抱き締める。久しぶりに、癒される時間だった。
「かいせ」
彼は。
どうせ、心が読めてる、。のに。俺はどうしてわざわざ、話すのか。
「んー?」
「甘えたく、なった」
「うん。おれも」
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