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流れ込む
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『二人は仲がいいね』『二人きりにしてあげる』まって『好意は断るなよ』逃げたい『失礼だ』いかないで『お高くまとまって』逃げたいんだよ『応援してるからね』やだ『いつも一緒にいるじゃない』いたくない『また今日も』ついてくるんだ『付き合ってるの?』話、きいて『ほらほら、来たよあのひと』話……
そこからの記憶を読むのは、ぽんぽん、と背中をさすられたことで阻止された。
そいつはなぜだか俺を慰めているらしい。
「俺は平気だよ」
「っ……」
痛い。痛い。痛い。
いたくない、いたくない、いたくない。
「こんなもの、見せて、楽しくないだろ。ごめん」
「お前、は」
「聞きたくないものを聞かせて、辛い思いをさせる。どうも、俺の存在自体が苦しめてしまうみたい」
「つらく、」
「辛くないよ。平気だよ。俺が悪かったんだ、だから、大丈夫だ」
そいつ本人の手に、触れられることで、俺の記憶干渉のダメージが和らいでいく。こんなの、初めて知った。
「俺は大丈夫だ。辛くなんか無かったからね」
ああ。そうか。
無理をするのでも、強がるのでもない。
こいつが、それでも、平気そうにするのは、俺を信頼していないからじゃない。ただその痛みが、こちらに流れ込まないようにしているから。
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