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見かけによらず
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「で、なにしてたんだ?」
「軽いカウンセリング、みたいな?」
「あっそう」
色が、案外いつも通りなのでなんとなく安心した。
帰り道の途中ではざわりとなにか嫌な声がして、誰かとすれちがった。
「どうかしたか?」
「いや……」
これは、俺にしか聞こえなかったのだろうか。
横に頭をふる。
「窃盗とかって、貧しい人のイメージがあるだろ?」
「急になに」
「でもさ、ほどほどに財力があるやつが案外多いんだよな。
それなりに恵まれてるような」
「例えば?」
「隣家が遠いとしたら、貧しいやつは、まず交通費が払えない」
「なるほど」
「今日の飯でせいいっぱいなら、そんなことしてるなら働くだろ」
じっ、と色は俺の真意を探るようにこちらを見ていた。
「リスクも高い、どのくらいの価値を他人が持っているかも不確定。
大抵の盗人は必ず下見をしてから来るらしい。
あまりに余裕ないやつが、そんな暇だろうか」
「まぁ確かに、一理あるのかもしれないが。そんな話を聞いたのか?」
ぎく、と俺は固まった。
「さっきすれ違った、品の良さそうな旦那と婦人がっ」
慌てて口を塞ぐ。
そいつは、特に動じもせずに、ちらりとその二人の歩いていった後方を見つめていた。
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