アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
会場
-
◆◇
『――きみは、いつ此方に来るんだい?』
シャンデリアの光る、嫌な空間の中の景色は、なんだかセンスのない成金みたいだと俺は思った。教会に行くかと思いきや、まずは隣接するホテルの会場の中で、主催だかなんだかの挨拶だった。
色はきょろきょろとサンドイッチを探すし、橋引は宝石を探してる……気が合うのね。俺少し寂しい。
で、冒頭の台詞は、俺の後ろに立っていた中太りのゲスみたいな男から。
にやにやして、歓迎すると笑ってた。
「俺は――」
あんたらの、その、決めつけたような価値観が大嫌いなんだよね。俺を見下してるのはこの際どうだっていいが、さらに俺には、その決めつけたような上も下も、どうだっていい、挨拶聞いてた方がマシだ。
そう言いかけた俺の前にさっきまで出歩いてた色がやってきた。やや大きめのスーツ姿で、強く言う。
「あんたらに気に入られて一喜一憂するために、ここに来てるわけでも、生きてるんでもないわけ。未来を変えるのに干渉するためにこの席に呼ばれただけなんだ。
そして俺らの上はその許可を出した。だから俺らの身体には、わりと深刻に明日がかかってる。
気やすく触らないでくれないかな?」
誰のためでもなく未来のため。将来に向けて残すためのもの。などと言われてその男は笑っていた。
そんなこと、なんの役にたつ?と。
「嫌なわけじゃない。ただ、可哀想な、とか、どこかしらロマンチックにされるのが、なんだか許せなくて」
「まあ、勝手だけどな、他人の」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
86 / 164