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緩和/ロマンチスト
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2019.6/59:26
走っていたときふいにゆらゆら、身体が波に揺れる感覚に見舞われた。
確かに地面に足をつけているはずなのに、空間がぐにゃりととろけ、身体が浮き上がる。
――離して! 怖い……!!
逃れられない水面。
少女のような、悲鳴。
流され、浮いたまま陸から離れる身体。
その浮遊感は、恐怖でしかない。
その声はよく聞くと自分自身のようにも見えた。
「今のは――」
呼吸を整えながら、自分の身体に異常がないか一応確認する。視界は、だんだん現実をとらえてきた。まだ手は震えている。動悸がする、心臓が動いてる。
この映像は恐らく津波か、死体放流、どっちかだった。
「ったく、心臓に悪い」
もちろん、俺の体質は事件に関係ない変な『拾いもの』をしてしまうこともある。近くに海辺があるせいなんだろう。
こんなものまで流れ込むとは。
「はぁ、早く戻って、アイツを抱き締めないとヤバいな……」
色は、俺の精神緩和剤だった。
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