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刃
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「殺してやるからな!」
と包丁を手にした女が騒いでいる。ここは、パーティ会場のホールだ。
実際には騒いでない。
頭のなかでしか、まだ行われてないから。
魚顔というのだろうか、なんだか、愛嬌のあるような特徴的な顔立ちの女がなぜかやけに激昂している。
――何があった?
「色ちゃん、あっちに伊勢海老あったよ!」
橋引が、俺の腕を引き、楽しげだ。
「一万円、脱皮したてのやつで皮ごと食べられるんだってさ! 脱皮を待つ係員が常に待機してるとかって」
「……そ、う」
『あああああーぁ!』
頭の中で顔を真っ赤にした、童顔の男が泣きわめいて、叫んでいるビジョンが映る。
まるでこちらに迫るかのように、その顔が、浮かんでは消え、浮かんでは消える。
『ああああああー!』
鬼気迫る、顔。真っ赤。
だんだん蜂に見えてくる。
蜂?かと思えば人の顔になる。歪んで、消え、歪んで、消える。
「……っは、っ、はっ、はっ」
怖い、怖い、怖い、なんだこれ。
言っておくが俺は薬物はやってない。フラッシュバックになるようなPTSD気味な部分は、あるにはあるが、それと違う。これは、予知? それとも――――
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