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蜂
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怖い、怖い、怖い、頭がおかしくなりそうだ。
嫌だ……
「は、ち……、やめて……怖い、来るな」
誰か知らないおばさんの鬼気迫る顔も、知らない少年が泣きわめく顔も、俺は、見たくて見てるんじゃない。
ぐらぐらと船酔いみたいなめまいがして、身体が斜めに傾いた。
「ぅあっ」
ばたん、と倒れる。
頭を打つ。
痛い……痛いよ。
この建物、害虫駆除をした方がいいんじゃないだろうか。
理由は、わからないけど。
頭が、おかしくなりそうだ。
「気持ち、悪い……」
誰かが居ることを感じたくて、腕を伸ばす。橋引が近くに居て俺の手を握った。
「大丈夫? なんだか、顔色が」
「ぅ……う」
怖い、怖い気持ち悪い怖い。
嫌な物が、沢山脳裏に浮かぶ。今、昔、未来、未来、未来。
わけのわからない、『ミックスされたもの』が映るのはずいぶん稀だ。妖怪絵巻にしか居ないような、脳裏で合成されてしまったのが、情報が一気に来すぎたのか。
それとも本当に――――
「ぁ……あ、ぁ」
橋引の手を握る。
自分がどこに居るかわからなくなりそうになる。
「だ、大丈夫? じゃないよね、どうしよう、どうしたら」
彼女が慌て出す。
俺は、声が出せるだろうか。
頭がぼーっとする。
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