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痛
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厄よけのお守り、と神社で買ったストラップを思い出した。ポケットにいれてたような……避けられて、居るだろうか。
少しして、だんだんと映像が消えていく。
消えるのはもちろんただ単に、現状把握へとチャンネルがやっと切り替わったに過ぎない。
周りの客たちが、何事だと言わんばかりにじろじろとこちらを見て来る中、どうにか、呼吸を繰り返しつつ起き上がる。
「はっ、はっ、はぁ、」
界瀬……
彼のことを、思い出してみる。
怖い。
繋がりっぱなしの、揺さぶられっぱなしな、意識。
――意識を、失いたいと、思うときがある。
「カイセ……」
俺を、助けてよ。
こんなもの見なくて良いって、こんなもの、怖がらなくて良いって、予言は、変えられるんだ、って、そう言って――
後ろにある会場のドアが開き、わずかに光が差し込む。
薄れそうな意識の中、入ってくる、見覚えのある姿を捉えた。俺を見つけると一目散に向かって来て、それから、ぎゅうっと抱き締めてくる。
「……かいせ」
彼は何も言わない。
どうしたのだろう。
俺は少し安堵しながら、その背に手を回す。
夏場は――ただでさえ、嫌な記憶が多い。
人が死に、人が、死んで、人が壊れた、自分が壊れた。それらは多くが夏の暑い時期の出来事だった。
「おれ、つかれた、みたいで、ちょっときゅうけい」
「……色」
しばらくして、彼は正気を取り戻し頬擦りしてきた。
「んーっ、痛い、痛い」
もがいてみるが、彼は俺をしっかりと抱き締めている。
「あぁ。よかった、よかった……」
「ど、したの」
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