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「タイのバンコク……」
「え?」
色が、何か呟いて、俺は聞き返した。
彼はなんでもない、と言った。伊勢海老の並ぶだろうテーブルの列に三人で向かう。残念ながらすでに伊勢海老は居なかった。
残念ではあったが、
ある程度サンドイッチやケーキや寿司、ローストビーフをつまんだ。甘エビはあったので色と橋引は喜んでいた。
腹がたぷたぷにならない程度の空腹を満たしつつ、一度会場から出る。
廊下に出て、少し開いた窓から心地良い風を感じながら
「――血が、見えた」
と、言ったのは俺。
出た途端に唐突に、頭に建物が浮かんだのだ。
ホラー映画みたいに、ベッドとか、壁とか、ひどい、汚れてて、『何か』が乗ってる。
どこかの、部屋。
「たぶん……人、だったもの……?」
気分が、わるい。気分が悪いものを見たと、思った。
なんだ、これ。
「かいせ?」
色が心配そうに俺を見つめてくる。周りは大半、まだ食事中なようで後ろのドアからは歓声が響いている。
目を、逸らせ、意識を保て、意識を逸らせ、目を逸らすな。
「なんだ、これ。発狂しそうだ。震えが、震えが……止まらな――」
……と。ぬるっ、と口腔内に暖かい感触。目を閉じる。
「んっ」
目の前に、藍鶴色が居た。
「……い、ろ」
それで、それだけで、充分だった。震えが収まる、視界が開ける。
やがて唇が離れる。
「なにか、見えた?」
唾液をぬぐいながら、平然と、聞いてくる。
「あぁ……」
彼に抱きついたまま、俺は項垂れる。
「見えた。たぶん、
何かとは、関係あると思うが……此処、やっぱそーいうヤツが、集まってるから」
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