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再会/コンセッション
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相手との再会というのは、そう望んでいない場合も多い。
「おや――色さん」
びくりと強張りかけた身体。声がかかった相手を、俺は知ってる。
「こんなとこにいらしていたんですか」
女は、笑みを浮かべて近づいてくる。
最ッ悪……こっちは二度と会わなくていいと思っているのに。
「会いたかった! やっぱり、感動の再会は、こうでなくっちゃ」
黒く光沢のある生地のドレスを身に纏い、占い師として働いている彼女。
猫のような鋭い目をしてるが、感動物の安っぽいホームドラマうるうると目を潤ませられるタイプ。
「悠柏さん、何してるんですか」
「んん、わかってる、く、せ、に? あなたが入らなかった『おじいちゃま』たちと同じ会の、集まりよ」
「……そうですか」
「あなた顔もいいし、モデルになれは集客率も望めるのに」
「嫌ですよモデルなんか。
晒し者にされるなんかごめんだ。本気で迷惑です」
『大手』はCMやらなんやらで人を集めてるし、人数も人気も多いが、さっきだか少し前に争ってきたばかりだったり。
「ほら、目立てば会いたい人にも会えるかもしれないわよ?」
チッ、と舌打ちをした。
そういう勝手な頭を、人を利用しているとは感じない神経がこの人で――ドラマか物語にしかないようなご都合主義の出来すぎた愛を、良い歳して語る。
貼り出したらその前に消されるわ、ふざけんな死ねと言う言葉を飲み込む。
「広告なんて、他人の力、他人の金そのものだ。
自力で会うことにはならない。俺ならそんなことされりゃ叩き出しますね……」
「まぁー、オトコのプライドってやつ? あらあら、おっとなー! 偉い。自力で頑張りなー」
腕を伸ばされて、さっ、と避けて前へ進む。そんな場合じゃない。――色、と、かいせや橋引が呼び追ってきた。
「安易なコンセッション導入はやめて!!」
女は包丁を握りしめたまま、じりじりと、舞台へ上がる。
そこには、先ほど何かを説明していた式場の運営かなにかの責任者らしき女性が居た。
「コンセッション方式は、既に決定したことです……民間とも手を繋ぎ、彼ら市民のノウハウをうまく利用することも視野にいれるべきだと」
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