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代わりはいない。
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春side
そのあと流鬼とゲームセンターでひたすら遊び、さっきの記憶を消そうと頑張った。まぁ、無理なんだけどね。ねぇ、蓮。俺はダメな恋人だったかな。悪いところがあるなら直すよ。浮気も全然許してあげる。だから俺のこと嫌わないで。捨てないで。お願い。
「春?どうした?」
「あ、…なんでもないよ、流鬼。ちょっとぼーっとしちゃって。」
「…春、俺はお前の1番の味方だからな。」
「ありがと、なんか今日は流鬼に甘えてばっかだね。」
「友達なんだから甘えてくれた方が嬉しい。」
「流鬼はやっぱ優しいね。」
「そんな事ないよ、よし!気持ち切り替えて次はあそこのゲームやろうぜ。」
「うん!」
流鬼がいてくれたおかげで少し、ほんの少しだけ俺の頭から蓮が離れた。でもふと頭に浮かぶのは蓮のことばかり。俺って本当に蓮のことばっかだなって呆れるくらい。そんなことを考えていると一つのUFOキャッチャーに目が止まった。
「?春どうした、」
「いや、あの人形かわいいなぁって。」
咄嗟にそういったが本当のことを言えば少しだけ蓮に似ている人形だから気になった。目がキリッとしてるペンギンの人形。
「俺UFOキャッチャー苦手だから無理だけどね。」
「でも、春欲しいんだろ?」
「うん、ちょっとね。」
「じゃあ取ろう!俺に任せて!」
そういって流鬼は機械にお金を入れる。慎重に動かして掴みはしたがあと一歩のところで落ちてしまった。それが何度も続き俺も半分あきらめていた。
「流鬼、もういいよ。ちょっと気になっただけだから。」
「大丈夫だって、もうすぐ取れる気がするんだ。」
そういって流鬼はまた機械に向き合い慎重にアームを操作した。そしてうまく引っかかったのか人形はそのまま運ばれた。取り出し口から人形を出した流鬼は得意げに笑っていた。
「え!?る、流鬼!!すごい!」
「だろ?ほら、あげるよ。」
「で、でも取ったのは流鬼だよ?」
「元々春にあげようと思って取ったんだからこれは春のもの。」
「…ありがとう。」
改めて顔を見るとやっぱりその人形は蓮に似ていた。ぎゅっと抱きしめてもう一度流鬼にお礼を言った。
「そろそろ遅いし解散するか。」
「うん、今日は本当にありがとうね。」
「いいよ、全然。またなんかあったら連絡して。」
「わかった、またね。」
そういって手を振り流鬼と別れた。家に着くと今日もらった人形をまた抱きしめた。気持ちのいい触り心地に涙が出てくる。もうきっと蓮に抱きしめられてもちょっと前の自分みたいに素直に喜べないだろう。キスをされてもきっと俺は困ったように笑ってしまう。でもやっぱり抱きしめて欲しいしキスもして欲しい。大好きだって、俺だけだって言って欲しい。目の前にある人形は動かないし離さない。俺のことを抱きしめてはくれない。
やっぱり蓮の代わりなんていないんだ。
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