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《日向太》
やば……!!
降って来やがった!!
焦って、鞄を抱え込んで走る。
なんで降るかなーーー!!
あと、もーちょっとだってのに!
うらぶれたアパートの一階。
着いた!
「凛!!」
「…おかえり。ひな。」
ドアを開けると、玄関兼廊下兼台所と四畳半、二部屋しかない。
その四畳半の布団の上に、凛がいる。
「…具合悪いんか?」
靴を脱いで、布団の脇に座った。
「たいしたことない。
それよっか、声大き過ぎ。近所迷惑。」
寝たまま文句言う。
って事は…、よっぽど具合悪いんだ。
「わり。でも、この時間、近所に人居ないじゃん?」
「そうだけど…。」
「な?」
怒ろうか、どーしようか迷って結局は、吹きだした。
「ひなったら、もう!
…濡れた?」
「走って来たし!そんなに濡れてねーよ。」
クラブの鞄から、タオル出して拭く。
「……雨の匂い…。」
トタン屋根から、賑やかしく雨の音。
それを凛は、ぼんやり聴いてる。
女の子みたいな、横顔。
痩せ過ぎの白い肌。
野球ばっかしてる俺とはえらい違いだ。
おんなじ年には、到底見えない華奢で、壊れそうな凛。
「……クラブ、どうだった?」
夢から覚めたように、凛が聞く。
「しごかれたー。ま、一応甲子園目指してるかんなー。しゃーない。一年は球拾いばっかだけどな。今日は早仕舞い!やったね!」
「そっか。」
「でもよ、聞いてくれ!初めてさ……」
俺の他愛もない話を、凛はにこにこと、時折毒舌交えて聞く。
凛は…高校行ってない。
体の弱さと、病気…(なんていったか、いくら教えてもらっても忘れちまう、ややこしい病名)、それと…ある事の所為で。
それだけに、高校生活は、物珍しいんだろう。
もうちょい、頻繁に来れるといいけど…
なんせ一年ボウズは、何かとこき使われるからなー。
うーん…。
「珍し。ひなが考え事。」
「俺だって考え事くらいするっちゅうの!
悩み多き青春だし!」
凛が吹き出す。
「今日の夕飯何かな、とかじゃなくて?」
あのな…。
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