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彼と一緒にいたいΩの僕が発情期抑えるためにαと番になることは許されますか?~ぼくのうた きみのこえ~
首元に這わせた舌(R18)
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二人だけの日曜日の朝練も半年が経とうとしていた。
「璃玖!ターンの時、足元見ない!だから次の振りに遅れんだよ」
「はいっ!」
二人で作り始めた曲の作業は、なかなか進んでいない状態だった。
原因は主に璃玖のレッスンの復習に時間を取られていたことと、一樹が秋の進級試験の準備があったためだ。
璃玖は基礎クラスのレッスン内容に日々なんとかついていくだけの状態だったが、一樹との練習で基礎からじっくり教えてもらえたおかげで、着実に上達していった。
一方一樹は、試験の結果、ダンスは初級、中級クラスも飛ばして上級クラスとなった。
本当に異例なことらしいが、同期の伊織も一緒に進級していった。
上級クラスになると、デビューした先輩たちのバックダンスを任されるようになるため、レッスン内容は新曲の振り付けやライブの練習などが中心になるらしい。
それでも一樹は自分の練習で忙しいながらも、欠かさず日曜日は時間を作ってくれて、璃玖の練習をみてくれた。
「璃玖!そこ軸足ズレてる!!」
「え!ちょっ、う、うわっ…!!」
璃玖はターンでバランスを崩し、そのままよろめいて尻餅をついてしまった。
「おいおい、大丈夫かよ」
いつもであればバランスは崩しはしても、転ぶほどではなかったため、何かあったのではないかと、一樹は顔色を確認するため、璃玖の向かい側に膝をつきしゃがんだ。
そして、璃玖の汗でおでこに貼りついた前髪をそっとかき上げた。
顔色は良さそうだが、一時間ほど練習し続けたせいか、璃玖の顔は紅潮し息切れをしていた。
そんな璃玖の姿に、一樹は何故か胸のあたりがソワソワした気持ちになった。
「ちょっと休憩しよ。待ってろ、飲み物とってくるから」
「大丈夫、大丈夫…痛っ…」
隅っこに置いたペットボトルを取りに行くため立とうとした一樹を止めようと、右足を重心に力を入れた途端、璃玖は足に痛みが走り、再度座り込んでしまった。
「どっか痛めたのか?!」
慌てて一樹はしゃがみ直し、璃玖の右ふくらはぎを片手で優しく掴み持ち上げ、反対の手で軽く足首を曲げてみる。
だが、璃玖の表情は先ほどのように苦痛に顔を歪めない。
「足首は大丈夫そうだな」
一樹は安堵のため息をつく。
「全然平気だよ。ちょっと…足がしびれただけだから…」
そう言った璃玖の目はどことなく泳いでいる感じがした一樹は「足首じゃないなら…」と言いながら、掴んだ璃玖の右足の靴を脱がそうとする。
「あ、待って…!!」
制止を聞かず靴を脱がすと、案の定、璃玖の靴下にはうっすらと血がにじんでいた。
一樹は璃玖の靴下も脱がし、傷の具合を確認する。
足の裏の親指付け根あたりのマメが潰れたらしく、痛々しい傷口で、どう見ても今すぐできた傷ではないことは明白だった。よくみると、それ以外にも絆創膏が貼ってあったり、治りかけの傷があったりする状態だった。
「なんで痛いって言わないんだよ…」
恐らくマメが潰れる前からかなりの痛さだっただろうが、璃玖は一言も弱音を吐くことなく一樹の練習についていっていた。
バツが悪そうに璃玖は小さい声で「だって…一樹に少しでも追いつきたいんだもん」と一樹から顔を逸らしながら言った。
しかし、痛みを堪えていた璃玖の変化に気が付くことが出来なかった一樹は、自分に苛立ちを覚え「こんな状態で練習したって何にもならないだろ!」と少々声を荒げてしまう。
「…ごめんなさい」
そんな一樹の様子に璃玖は驚き、両膝を抱え顔を埋めてしまう。
「あ、いや…ごめん、大きな声だして。ちょっと待ってろ」
一樹は璃玖の頭をポンっと優しく叩き、スタジオの端にある戸棚から救急箱を取ってきた。
「ほら、足貸してみ」
一樹は璃玖の向かい側にあぐらをかいて座り、璃玖の右足首を掴み自分の膝の上に乗せる。
そして、救急箱から消毒薬を取り出し、ティッシュを当てながら璃玖の傷口に数滴垂らす。
「し、染みる…!!」
思っていた以上に傷口に染みて、璃玖は痛みに耐えるように上を向き、奥歯を噛みしめ痛みに耐える。
「ほんとバカだな。だからこうなる前に言えよ。直りも遅くなるし、いいことないから」
一樹は手際よく傷口に絆創膏を貼り、そのままテーピングを始める。
「ごめんなさい…」
冷静になった璃玖はしゅんとなり、手慣れた様子でテーピングする一樹の手元をじっと見つめる。
「まあ、オレも昔なったし。気持ちはわからなくはないけど」
「一樹も?」
テーピングの手を止めることなく、一樹はそのまま話始める。
「ああ。初めて、ダンス教室の発表会で出演が決まった時、嬉しくて練習しすぎてさ。結果、今の璃玖と同じ状態になって、舞台に立てなかった」
いつもは明るい一樹の顔が、哀しげな表情を浮かべていた。
「そっか…それは哀しかったし…悔しかったよね」
人一倍頑張っていた結果がそうなってしまったのだから無理もないと璃玖も胸を痛める。
璃玖は「へへ、いつぞやの仕返し」と言いながら、以前一樹がしたように、一樹の頭をポンポンと軽く叩き、手のひらで優しく撫でた。
「仕返しって…お前なぁ…」
無邪気に微笑む璃玖につられて、一樹も優しく微笑んでしまう。
「よし、完成かな」
一樹はテーピングの具合を確認するため、璃玖の右足首を持ち上げ顔に近づけ、剥がれた部分などがないか確認をする。
しっかり固定されていること確認し終えると、ふと(このケガはオレに必死についていくために負ったものなのか…)と思い、先ほどの無邪気な璃玖の微笑みが頭をよぎった。
そして、なんとも言えない愛おしさが湧き上がってくることを一樹は感じた。
一樹はそのまま璃玖の足を顔に近づけ、白く滑らかな肌の足の甲に「チュッ」と軽くキスをした。
「ひゃっ!な、なにしているの一樹?!」
いきなりのことに璃玖は驚き、声が裏返ってしまい、慌てて一樹から足を引っ込める。
「いや、お前の足って白くてかわいいなぁって思って…」
慌てふためく璃玖とは真逆に一樹はいたって冷静な様子だが、内心では自分の行動にだいぶ驚いていた。
いくら自分より背が低くて可愛らしいといっても、璃玖は男だ。
Ωの男性も妊娠出来るため、同性婚も珍しくない世の中だが、一樹は今まで同性にそういった感情を抱いたことは一度もなかった。
だが、今は考えるより先に行動を起こしてしまった。
そんな今まで感じたことがない衝動に、一樹自身も戸惑いを隠せない。
「もう、そういうのは好きな子にしなよ」
璃玖は、内心戸惑っている一樹には全く気づかず、揶揄われたと勘違いし、少々頬を膨らませながら、怒った表情で靴下と靴を履きなおし、立ち上がった。
その場で足踏みやターンをしてみて、一樹のテーピングのおかげで痛くないことを確認すると、「でも…ありがとう。おかげで全然痛くないや」と言って、座ったままの一樹に、璃玖は照れた様子で頬を赤く染めつつ、にっこりと笑いかけた。
(あ、やばい…)と脳裏をよぎった一樹だったが、またも考えるより先に行動に移していた。
「さ、練習再開」と後ろを向いた璃玖を追いかけるように立ち上がり、璃玖の腰から手を回し、自分に引き寄せ、後ろから抱きしめた。
「えっ…一樹…!!」
璃玖は状況が読み込めず、慌てて一樹の腕の中から逃げようとするが、一樹の腕の力はさらに力が入り、まるで離したくないと言っているようだった。
「ちょっと、一樹…冗談も…いい加減に…」
いつもの冗談だと思いながら璃玖は顔を上げると、自分たちの姿が壁全体に飾られた鏡に映っていることに気がついた。
そして鏡越しに一樹と目が合う。
揶揄ってほくそ笑んでいるだろうと思っていた一樹の表情は、今までみたことがないくらい真剣で、璃玖は鏡越しながら目が離せなくなってしまう。
「い、一樹…」
まるで吸い込まれてしまそうな一樹の目に、璃玖は不安になり、泣きそうな表情を浮かべる。
そんな表情を鏡越しでみた一樹は、自分の中で沸々と湧き上がる何かが抑えられなくなっていた。
「璃玖…」
熱を帯びた声で、耳元で名前を呼び、細い腰を片手で押さえながら、一樹は汗ばんだ璃玖の首元にそっと口づけた。
璃玖の汗の匂いは決していやなものではなく、逆にほんのりと花のような香りがして、一樹をさらに夢中にさせた。
「えっ、ちょ、ちょっと…一樹、本当にいいかげんに…」
必死に抵抗をする璃玖に対して、一樹は自分にこんなに力があったのかと思うくらい璃玖を固定して離さなかった。
そしてそのまま、璃玖のTシャツの裾から手を入れ、脇腹に直接手を這わせた。
(あっ、なに…)
璃玖は腰に甘い疼きを感じ、感じたことがない感覚に襲われ「んっ…」と吐息混じりの声がで出てしまい、体の熱が一気に上がったように感じた。
そんな璃玖の反応に一樹の撫でる手はエスカレートし、そのまま肌の感覚を確かめるようにゆっくりと、脇腹から腹筋、胸骨と手のひらを移動させていく。
吸いつくような肌の感触を堪能しつつ、そのままどんどん上に移動させ、とうとう璃玖の小さな乳首に到達し、そっと人差し指で軽く撫でる。
「あっ…!!」
まるで電流が走ったかのような、今まで味わったことがないあまりの感覚に、膝から力が抜け、璃玖は自分では立っていられなくなり、鏡の前に設置されたバーに掴む形になってしまう。
たった一度撫でただけで、そんな反応をみせる璃玖に、一樹はさらに夢中になり、今度は乳首の上で指先を一周させる。
「あっ、ん…待って一樹…」
璃玖は胸に這わされた一樹の手をTシャツの上から押さえ、必死に動かされないように抵抗する。
しかし今度は腰に回されていた反対の一樹の手が、璃玖の太ももと半ズボンの境界線を撫でつつ、
首元では「ぴちゃっ」とわざと音を立てて、汗を舐めとった。
そしてそのまま、首元に這わせた舌を、今度は璃玖の耳の裏をなぞるようにねっとりと舐め、耳たぶを口に含み甘噛みをする。
「ふぁ…あっ…」
璃玖からさらに甘い吐息が漏れだした。
(噛みたい…)
一樹はまるで自分の中に自分ではない第三者が囁いているかのように感じ、璃玖の首元を強く噛みたい衝動に駆られた。
だが、ふと顔をあげた一樹は、正面の鏡に映し出された璃玖の熱にうなされたような煽情的な表情に一瞬釘付けとなったが、そこに重なるように映る自分の獣のような瞳に驚き、まるで血の気がひくように一瞬で冷静さを取り戻した。
「…!!」
固定していた璃玖の体を一樹はパッと手を離すと、璃玖の体はバーを掴んでいたが、ほとんど一樹に支えられていたため、そのまま膝から崩れ落ちてしまう。
そんな崩れ落ちた璃玖の姿をみて「ごめん、オレ一体なにして…」と、慌てて一樹は弁解するように手を差し出す。
しかし、体をびくっとさせ、目を合わせようとしない璃玖に、一樹は明らかな拒絶を感じ、差し出した手を引っ込めた。
璃玖はそのまま顔を上げずに「ごめん、僕もう時間だから」と、自分の荷物をそそくさとまとめ、スタジオから出ていってしまった。
一樹はその姿を、声もかけずにただ呆然と見送ることしか出来なかった。
「何してるんだろ…オレ」
その場にしゃがみ込み自分の手のひらをみつめる。
手のひらにはまだ、璃玖のきめ細かい滑らかな肌の感覚と熱がしっかりと残っていた。
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