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「有希子ちゃんだっけ?人が用を足しているところを覗くのは犯罪だって分かってるよね?」
「ごめんなさい。でも私、天使様が体調が悪いんじゃないかって心配になって…」
「だからって普通男子トイレを覗いたりなんかしないだろっ」
立ち止まって、声を荒げると、彼女の肩がびくりと揺れた。
俺は伸びた前髪をかきあげ、ため息をついた。
「ごめん、急に大声出して。とにかくそういうことはもう二度とやめてくれ。あと、君のことを好きになることは永遠にないから。本当に迷惑だから、もう校門の前に立つのも手紙も止めて」
「ごめんなさい」
俯く有希子の目尻には涙が滲んでいた。
そんな姿を見ても優しくする気もおきなかった。
「じゃあ。もう会うこともないだろうけど」
彼女を残して俺は足早にその場から去った。
少しして振り返ると、彼女は微動だにせず、そこに立ちすくんだままだった。
中学生相手に言い過ぎたかとも思ったが、手紙の内容を思い出すと怒りと羞恥で身震いがおきた。踵を返し、俺は二度と振り返らなかった。
翌朝、校門の傍に立つ有希子の姿を見つけ、俺は何度も瞬きをした。しかしそんなことをしても彼女の姿は消えてはくれない。
こちらに気付くとずんずんと近寄って来て、手紙を差し出す。
俺が咄嗟にそれを受け取ると、彼女は一礼し、走って行った。いつものようにべたべたと話しかけてこない彼女に俺は目を丸くした。
もしかして最後に謝罪の手紙でも寄こしたのかな。
いつもより分厚く感じる手紙をじっと見つめながら、俺はそんなことを考えた。
授業が終わり、クラスメイトが続々と教室から出ていく中、俺は今朝有希子から貰った手紙をカバンから取り出した。
最後の手紙くらい読んでやるか。
封を切ると、中にはいつものレポート用紙と一緒に写真が2枚入っていた。
なんだ、これ?
写真に写っているのは赤黒い、ザクロのような…。
その物体を認識した瞬間、俺はザッと鳥肌をたてた。
写真をカバンに突っ込む。
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