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じっと固まっている俺を不審に思った小糸がノートから顔を上げる。
「どうした?」
「あのさ、俺達昨日さ…」
それ以上の言葉が続かない。
真っ赤な顔で黙って俯く俺を、小糸がじっと見つめる。
「あっ、そういえば昨日の告白の返事、俺まだもらってないな」
「えっ」
「何、驚いてんだよ?」
そう言うと小糸はおかしそうに笑った。
「いや、昨日のやり取り全てが俺の妄想だったんじゃないかって不安になってたから」
「いやあれ全てが妄想だったら鈴賀、かなりやばいだろ」
呆れたように言う小糸に恥ずかしさから俺は体を縮こませた。
「それで、ちゃんと現実だって分かったんだから、返事はくれないの?」
「もっ、もちろん付き合うよ。だって俺から先に好きだって言ったんだよ?付き合わないわけないっ」
慌ててそう言うと、小糸は今度はぷっと吹き出した。
「わかったよ。わかったから落ち着けって」
俺は気持ちを整えるため、俯いて大きく深呼吸した。
ふいに頭に温かい重みを感じた。
乾いた大きな掌が俺の頭をぽんぽんぽんと撫でる。
「じゃあ、今日から俺達は恋人同士だな」
俺はぼぼっと顔を赤くしながら頷いた。
「なあ、鈴賀。お前普段から俺とのこと妄想してたりするわけ?」
意地悪く笑いながら、小糸が言う。
「はあ?」
「どうなんだよ?」
「もう揶揄うのやめてよ」
俺はシャーペンを持ち、ごまかすように目の前の数学の問題に取り掛かろうとした。
しかしどうにも俺の彼氏になったばかりの男が気になり、集中できない。
「鈴賀」
小糸からふいに名前を呼ばれて、俺の肩がびくりと上がる。
「明日の放課後、時間あるか?」
小糸がノートから顔を上げないで問う。
「うん」
俺はこくこくと頷いた。
「じゃあ、空けといて」
「うんっ」
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