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俺が父親に暴力を振るわれていることを知ってから、正臣はより一層俺に優しくなった。
用具室に一緒にいる時も、ただセックスするだけじゃない。
正臣は俺を膝に乗せて、今日一日あったことを話した。その間もずっと俺の髪を撫でたり、こめかみや頬にキスをくれる。
俺は最初こそそんな正臣の態度に戸惑い、挙動不審になったが、最近では自分からも積極的に正臣に甘える様になった。
父親に殴られたり、怒鳴られたりする自分の現状が本当に嫌だった。
早く大学に進学して家をでたいとばかり考え、高校生活を楽しむ余裕なんて俺にはなかった。
それが今は違う。
正臣の腕の中にいるこの時間を一分、一秒引き伸ばしたい。
このまま明日がこなければいいのなんて馬鹿みたいな願いが頭に浮かぶ。
正臣が俺に怖いくらい優しいのは、俺の境遇に同情しているからかもしれない。もしそうだとしてもこの幸福な時間を得るためだったら、父に殴られるくらい大したことではないと考える自分は、そうとう正臣にイカレている自覚があった。
その日、事が済んだ後、シャツだけを羽織った俺の膝に正臣が頭を乗せた。
いつもとは逆の体勢で、真上から見る正臣の顔は新鮮だった。
びっしりと生えた長いまつ毛の先を人差し指でつぅと撫で、薄い唇にちょんと触れる。
正臣はくすぐったそうに笑うと、俺の手を摑まえ、指を絡めた。
本当に美しい男だと思った。
この男が自分の恋人だなんてとても信じられない。
俺が思わず吐息を漏らすと、繋がれた指先に力を込められた。
「頭、重い?」
「ううん。ただ本当に正臣ってかっこいいなあって思っただけ」
「そうか?ありがとう。でも俺からしたら貴雄のほうが見た目、いいと思うぜ。すごく綺麗で、天使みたいだ」
正臣の言葉に俺はふっと笑った。
「天使みたいってよく言われるけど、本当はずっと嫌だった」
俺の言葉を聞いて、がばりと正臣が体を起こした。
「ごめん。そんなつもりじゃない」
「分かってる。ただ天使みたいだって言われるたび、俺の内面は真っ黒で、天使なんかには程遠いのにって、いつも心の中で反発してた」
正臣は眉を下げると、俺の頬を大きな乾いた掌でそっと包んだ。俺はその手に甘える様に目を閉じた。
「そんなことないだろ。貴雄は疑うことを知らない。内面も純粋で綺麗だと思うけど」
「純粋?そうかな。……でも、もうなんでもいいや。正臣が綺麗だって言ってくれるんなら、この顔に産まれて良かった」
目を開けると、正臣の顔が間近にあった。
正臣が俺の下唇を噛み、焦らすようにゆっくりと舌を差し込む。
俺が舌先でそれを迎え入れた瞬間、正臣が俺の体を力強くかき抱いた。
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