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距離感 2
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「はいはい皆落ち着いて。俺これから仕事に行かないとなんだよねー。また次のライブで会いに来てよ。その時全員抱いてあげる」
パチンっと綺麗なウインクを飛ばして、女子軍団の腰を砕きまくり黄色い悲鳴を全身に浴びた藤堂さんは、満足気にヘルメットを被ってバイクを唸らせた。
なんか、ここまで凄いとなんて言っていいのか·······。
藤堂さんは女子軍団の中から僕を見つけると「またね」と口を動かしてバイクを走らせた。
女子たちが一斉に僕の方を振り返って「なにこいつ」と言いたげな顔で見てくる。
その視線から逃げるようにそそくさと教室へ急いだ。
その日はずっと、藤堂蓮司の知り合いが学院内にいる、と噂が走り回っていたけれど、すぐ逃げたのが功を奏したのかその人物が僕であるとは誰も気づいていないようだった。
今度藤堂さんが大学に来る時はサングラスとマスクをして来てもらおう。
三限の授業が終わって、家庭教師のバイトに行くまで1度家に帰って荷物を準備しないと、と考えながら大学を出た。
そうだ。今日ファイルを届けてもらったお礼に何か買って帰ろう。
ビール·····は買えないし、藤堂さんが甘いものを食べているところを見たことがないからお菓子系もなし。
あ、でもピアスを壊してしまった時にアイスを奢ってって言ってたな。
あまり甘くないアイスの方がいいかな。
いやでも僕が知らないだけで実は甘党だったりして。
··········こう考えたら僕、まだ藤堂さんのこと何も知らないな。
色々考えて、結局家の近くのコンビニでたくさんの種類のアイスを買って家に帰った。
これならどれか1つくらい食べられるのがあるだろう。
残りはゆづにぃたちにあげればいいし。
「ただいま帰りました」
リビングの扉を開けて固まった。
ソファに座っているゆづにぃに、上から覗き込むような形で背もたれに手をついている藤堂さん。
藤堂さんの背中しか見えないけれど、2人の顔が重なっているように見える。まるでキスをしているみたいに。
あまりの衝撃にアイスの入ったビニール袋がガサッと落ちた。
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