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近づきたい 5
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慣れた足取りでスタスタ歩く金髪を追いかける。
細身で長身なところも歩き方も、付けているピアスやアクセサリーも確実に藤堂さんだ。
どうしてこんな所にいるんですか、と一言きけばいいだけなのに何故か声をかけられなくて、探偵のようにこそこそ物陰に隠れながら後をつけた。
たどり着いたのは人気の全くない小さな公園。
木造りのベンチと街灯が1本だけの公園というよりは休憩所みたいなところだった。
周りに住宅もなくて、町外れの場所にポツンとある。
よく見ると街の夜景が見渡せてすごく綺麗だ。
藤堂さんはいつもここに来ていたのかな?
確かに綺麗だけど、ここに来ているならメンバーの皆にそう教えても良さそうなのに。
藤堂さんはベンチに座るでもなく夜景を眺めていて、その後ろ姿が全然違う人に見えて心臓がぎゅっとなった。
1歩でた足が、落ちていた缶を蹴ってしまい藤堂さんが振り返る。
「あ……」
僕に気づいてもいつもみたいにヘラヘラ笑わない藤堂さんが少し怖かった。
ス、と目を細めて面倒臭そうにため息をつく。
「藤堂、さん?」
「ストーカーするなんていい趣味してんね、いぶちゃん」
ニコッと笑う藤堂さんの表情に苛立ちが見て取れて、声をかけずについてきてしまったことを後悔した。
この人は本当にあの藤堂さん?
知らない人みたいで思わず後ずさる。
「すみません、つけるようなマネをしてしまって…」
「いいよ別に。減るもんじゃないし」
「ごめんなさい」
「怒ってないって」
困ったように笑った藤堂さんに、いつもの面影を感じて少しほっとする。
「なんでいぶちゃんここにいんの?今日帰り遅くなるんじゃなかったっけ?」
「僕はアルバイトの帰りで、たまたま藤堂さんを見つけて」
「あー、なるほどね」
おつかれさん、と言った藤堂さんはベンチ座って長い足を組んだ。
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