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子羊の迷走10
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「古賀君、大丈夫?」
椅子から動けないでいる俺を見かねて、幹が声を掛けてきた。
1年生同士だから、気を遣ってくれたのだろう。
ただ、1年といっても幹も特別。
陸上部で活躍していて県の最高記録をいくつか保持し、聖藍学園の弱小陸上部を一躍有名にした。
その実力と、実績を認められている。
だから、俺とはやっぱり格が違う。
運動部の総括長にふさわしい人物だ。
のろのろと立ち上がり、自分が座っていた椅子を舞台袖へ運ぶ。
ふと上げた視線の先に高良が居て、2年生の立候補者と談笑していた。
俺は、大股で高良へと歩み寄る。
「よぉ、佐久ちゃん。お疲れさん!」
高良は、いつも通りに『佐久ちゃん』とふざけ調子に呼ぶ。
そしていつもの様に、ヘラリと笑った。
いつものことだけど……。
だけど、今はそれも、無性に俺の怒りを増大させる。
「………」
俺は無言。
無言で…握った拳で高良の顔面に右フックをお見舞いし、そのまま体育館を後にした。
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