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悩める子羊12
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「へぇ、大丈夫って…たいしたものだね。じゃぁ、お手並み拝見させて頂きましょう」
櫻木さんが、たいした表情の変化もなく彫刻のように整った顔で言う。
一般生徒の前では、それはそれは綺麗な営業スマイルをしているのだけれど…。
ここ(生徒会)では素のままなのか、それがほとんど見られない。
櫻木さんはすごく美形だけれど表情から感情が読み取りにくいから、言葉が冷たく感じてしまう。
「幹も言ってたけど、櫻木に悪気はないから…」
周防さんが、苦笑いでフォローする。
そんな様子を気にもせず、櫻木さんが俺の前に書類の束を運んで来る。
「これ、残りの会計書類。清書をお願いします」
櫻木さん。
本当に、悪気は無いんですか…?
俺はまだ手付かずの仕事も抱えている。
「〆切の変更は…?」
恐る恐る訊く。
「無しで」
俺は手帳に『会計資料、3日前まで!』と記入したところを丸で囲み、『変更なし!』と書き加えた。
気が付くと、櫻木さんが生徒会室の隅へと向かう。
そこは、電気ポットと紙コップが置かれているスペース。
俺は慌てて席を立つ。
室内に下級生は俺一人。
お茶を入れるとなれば、やはり動かないワケにはいかない。
櫻木さんの所まで、移動しようとしていたら。
「手伝わなくていいから。 生徒会では仕事優先。仕事中は先輩後輩は関係ないから遠慮はしないこと。お茶なんかは手が空いた人が入れればいいんだよ」
櫻木さんはお盆の上に人数分の紙コップを並べる手を休めず、立ち尽くしたままの俺を見ることもない。
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