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悩める子羊34
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その点、櫻木さんは仕事が早い。
「じゃぁ、よろしく!」
「はい!」
書類を手渡される瞬間、いつも無表情に見えていた櫻木さんが微かに笑った。
それは、あまりにも美しすぎて…思わず見とれてしまう。
城戸さんが横から言う。
「うっわ~。 櫻木のあんな顔を間近で拝めるなんて、ラッキー!」
それほど、貴重な笑顔らしい。
「それにしても。 古賀は相庭相手だとエンジン全開なのな。俺らにも少しはそのテンションで接してくれよ」
「そうだね。全開とまではいかなくても、これからもっと打ち解けてくれるといいかな!」
優しく微笑む森さんに、戸惑う。
「どうかした…?」
俺の様子がおかしいことに気が付いた森さんに問われる。
大きく深呼吸して…、俺は静かに口を開いた。
「あの…俺、総会が終わったら辞めさせてもらおうと思っていて…」
ずっと考えて…悩んで……。出した結論。
きちんと務めようと決めたのに、途中で投げ出しかけたうえに、周りに心配と迷惑を掛けまくった。
冷静に考えて、自分は生徒会のメンバーにはふさわしくナイ…。と思う。
だから今更だけれど…総会を最後に辞任させてもらおう……って。
周防さんは俺の辞退は『なし』って言っていたけれど…『体調不良で継続不可能』とか……いくらでも都合のよい理由を付けて公表してしまえばいい。
書記局長は、俺よりも適任な森さんに引き継いでもらおう……。
室内が静まり返り、みんなが俺の言葉に注目している様子がヒシヒシと感じられる。
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