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夏の終わり 4
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誰にも気付かれない、俺だけの…印。
佐久也本人でさえ、気が付かないだろう。
もうすぐ夏休みが終わり、俺は学生寮に戻らなくてはいけない。
その頃には、この印も消えてしまう…。
俺が側に居れない間、誰にも触れさせないように、誰もが気が付く所に、決して消えない印を付け『これは俺のものだ』って言えたらいいのに…。
なんて…あり得ないことを思い、一人小さく笑う。
佐久也は俺と同じ高校を受験する。
来年は、もっとずっと側に居ることが出来る。
「早く、俺の側に来いよ…」
俺に背を向け、横を向いて眠る佐久也を仰向けにする。
熟睡している佐久也は、何をされても夢の中だ。
「佐久也…。 好きだよ」
当然、佐久也からの返事は無い。
この、俺の想いを込めた囁きも…届かない。
覆い被さり、俺は佐久也の唇に唇を重ねた。
最後の、特大の花火が花開く。
「か~ぎや~…」
俺は窓の外に視線を向け、佐久也の少し硬い髪を撫でながら小さく呟いた。
そして静かな寝息をたてる佐久也の寝顔に話し掛ける。
「来年も、再来年も…その先もずっと、変わらず二人でこの花火を見よう。 なっ?」
ずっと変わることなく…そう、切に願う。
……もうすぐ、今年の夏が終わる。
『夏の終わり』END
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