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僕の名前。2
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佐久也がお目当ての物をまだまだ探し出せないことを祈りながら、マンガをペラペラとめくる。
読みたかった分の連載マンガを読み終えて、佐久也が静かに俺の勉強机に向かっていることに気が付いた。
俺は、後ろからそっと近づく。
佐久也は、黄ばんだ作文用紙を机に広げていた。
上から覗き込む。
『僕の名前。 5年1組 相庭高良』
……俺の、小学生の時の作文。
確か、学校の授業で書かされた。
今思うと、反抗期を迎えた頃に両親がどんなに愛情を込めてその名前を付けてくれたのかを知り、感謝しよう。
みたいな、目論見があったんだろうと思う。
俺は、大きく息を吸う。
「こらっ! 何を勝手に読んでるんだよ!」
「うあぁっ! もぅ、ビックリするなぁ~。 なにって…高良の作文だよ」
佐久也は、全然悪びれた風がない。
「懐かしいね。 これって、表彰されたやつだっけ?」
「あ~~~、そうだったっけ?」
「う~~ん…。高良、いっぱい表彰されてたからなぁ」
そう言って、佐久也はその作文用紙を手に持ち、姿勢を正すと音読を始めた。
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