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よい子にサンタはやって来る? 5
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「高良!なにしてんの?」
気が付くと、佐久也はすでにテーブルに着いている。
…佐久ちゃんらしいよ、食いしん坊め。
そんなところも、可愛らしくて好きだけど。
乾杯をして、繁父さんのお酒に付き合う。
息子の義務。
佐久也はお酒が苦手だから、これは俺の務めだ。
そして、去年のような流れでリビングで男二人で酒盛りが始まる。
ふと佐久也を見ると、クリスマスツリーの周りをぐるりと回りながら何かを探している。
捜し物はきっと、小さな長靴のオーナメントだ。
佐久也が小学校の頃から始めた、俺だけのサンタクロース。
明日の朝には、小さな長靴の中にポケットサイズのソフトキャンディが入っているはずだ。
何年も同じ事の繰り返しで、たかだかお菓子1つのことなのに、それが毎年とても嬉しい。
佐久也がどうしてそんな事を始めたのかは覚えていない。
けど、佐久也がサンタが俺に置いていった物だと言い張るから「すっげぇ!サンタが持って来てくれた!」と、大げさに喜んだら佐久也がすっごく満足気に嬉しそうに笑った。
その記憶だけは、はっきりと残っている。
あれから佐久也は毎年同じ事をするようになった。
そして、俺もあの日と同じように大げさに喜んでみせる。
いつまで続くのかわからないけど、出来ればずっと佐久也が続けてくれる事を願っている。
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