アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*日 常* 5
-
笑いながら大げさに肩を竦めて見せる上杉に、苦笑いで答える。
「それは、お役に立てなくって残念。 実家がヤクザってのは本当だけど、本妻の子じゃないから次期組長じゃないしね。 俺は聖藍卒業したら立派に堅気になる予定だから……」
って、何を話しちゃってるんだろう…自分に苦笑い。
今まで誰にも話したことのない決意。
3年間、ここで平穏無事に過ごしたら、俺はそのまま消息不明になる。
失踪するための準備期間。
「へぇ。で、立派な堅気になるために聖藍に来たのか?」
「まぁ、そんなとこかな。 普通の学生出来たらラッキーって思ってたけど、これじゃあ地元の中学ン時と大して変わらなそうだ……残念」
残念と口にしながらも、“またか”という諦めのほうが強いのが本音だけれど。
周囲の興味と好奇の目。
そのくせ、関わる勇気の無い奴らばっかり。
司は常に孤立していた。
「悲惨っぽいな……よくグレなかったな」
「グレてたよ~。 でも人生棒に振らない程度にねぇ。 ほら、俺って賢いから!」
おどけて見せる司に、笑いながら上杉が皮肉を言う。
「ちゃっかりしてるな。ひねたガキだったんだ」
「ひねてないよ、グレてたんだって~。人の話はちゃんと聞けよ」
上杉は「アハハハ」と声を上げて豪快に笑った。
「俺なんか、高校中退の不良親父が成金根性で『息子が名門校に通うのは金持ちのステイタスだ!』とか言いやがって、聖藍受けさせられたんだぜ」
うんざりとした表情を浮かべた上杉に、司はクスリと笑う。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
52 / 66