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それぞれのマイウェイ 2
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「高良、いつまで寝てるんだよ。いい加減に起きろよ! バカ高良!!」
被っていた掛け布団を勢いよく剥ぎ取られた。
「う~~…」
恨めしげに見上げると、制服の学ランを来た佐久也が仁王立ちで見下ろしている。
「おばちゃんと遥ネェはとっくに出掛けてるからな。俺ももう行かなきゃだけど、二度寝するなよ!」
「ん~~」
言葉の出ない俺に、佐久也の声が降り続く。
「遅刻だけはするなよ、分かってんのかよ!中学最後なんだからな…今日は高良の卒業式なんだからっ!!」
中学校最後の登校日。 俺の卒業式。
「へぃへぃ、分かってまぁす」
いつ頃からだろう…しっかり者の佐久也がこうやって、毎朝隣の家から起こしに来る。
それは例えば、どちらかが日直の日であっても繰り返された。
佐久也の登校が早い日は、俺を起こしてから先に出掛けて行ったし。
逆の場合は朝食を中断してでも、俺の登校時間に合わせて起こしに来た。
でも、それも今日でおしまいだ。
俺は、春から聖藍学園で寮生活を送ることが決まっている。
「俺、先行くけど。ちゃんと準備しろよ!」
「あぁ、わかった…」
上半身を起こし、大きく伸びをする。
背を向け部屋を出て行こうとした佐久也が、一旦廊下に出て両手で何かを抱え戻って来た。
そして、俺の目の前にそれを突き出す。
それは、レトロなロボット型をした目覚まし時計。
「これ…合格と入学のお祝い」
そっぽを向き、目線を合わせないままで言う。
いつも、俺には憎まれ口ばかりを叩く佐久也のことだ。
面と向かっては、きっと恥ずかしいのだろう。
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