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それぞれのマイウェイ 5
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「おい、相庭! いつまで歯磨きしてんだよっ!!」
塚本の声に我に返る。
俺は歯ブラシをくわえたまま、洗面所にボサッと立っていた。
「相庭…。今年は俺ら受験生だぞ。そんなに『ボケ~』っとしてて、大丈夫かよ?」
呆れ顔の塚本。
「あぁ、本当だな…」
鏡に映る自分の顔をちらりと見る。
情けない事になって、佐久也に愛想つかされたら堪らないな…。
しっかりしろ、相庭高良!
俺は、常に『前進あるのみ!』だ。
「心配するなって。俺は何ごとも『自信あり!』なんだからさー」
嘯いて、自分を奮い立たせる。
「…お前……すっげムカつくわ…」
眉根を寄せ、塚本に不機嫌な顔を向けられた。
「はは!なんでだよ!!」
室内にドアのノック音が響く。
塚本が出入り口に向かい扉を開けた。
「塚本さん、おはようございます! 今日は高良、ちゃんと起きてますか?」
今年は俺の寮生活最後の一年だから、佐久也は出来る限り一緒の時間を作ろうと思っているようで、こうやって朝から朝食のお迎えに来るようになった。
「…毎朝ご苦労なこったな。相庭ーっ、本物来たぞー!」
「は?『本物』って…?!」
「ん~あれな…」
塚本が俺のベッドを指差す。
その先を視線で追った佐久也が目を見開き、数回瞬かせて顔を真っ赤にして固まった。
「あの目覚まし……。まさか塚本さん…」
「ああ、俺も毎朝聞いてるぞ。古賀の可愛いモーニングコール」
「ああぁぁあ! もぉ恥ずかしいから止めろよ、バカ高良!」
洗面所から出て来た俺を、佐久也が睨む。
「え~なにを今更…。俺、1年の入寮した時からずっとあれ愛用してんのに…」
「えぇっ!? まさか…去年、一昨年の同室者も…?」
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