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それぞれのマイウェイ 7
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「そ、そうだけど…。だって、もっと個人のプライベートがちゃんとしてる寮だと思ってたんだもん!」
一応お坊ちゃん校としても名前が知られている学園だけに、在校生でも寮生でなければ豪華な完全個室だと勘違いしている人は多い。
でも実際は、基本二人部屋の庶民的で質素な寮なのだ。
「まぁ、塚本のことはそんなに気にすることはない。あいつだって、携帯でわんこの鳴き声聞いてニヤケてる変態だから」
「えぇ!? ホントに? 意外~!」
…そうそう意外でもないけどな。
塚本の奴、佐久也の前では良い先輩面キープしてるからな…。 俺と同室になったからには、そのうち正体暴いてやるがな!
「あ……」
佐久也が何か小さく呟いて俺に背を向け、自分のポケットを探っている。
そんな佐久也を横目に、ネクタイを締めながらクローゼットへ靴下を取りに移動する。
靴下を履いていると、クローゼット横の造り付けの勉強机の上に放置したままの携帯電話の着信が鳴る。
そんなに鳴ることのない携帯が、しかもこんな時間になんて…怪訝に思いながら手に取り着信画面を確認する。
佐久也…?
不思議顔で視線を上げると、ベッドの横で青い携帯電話を耳に当てて、悪戯っ子のような笑顔で佐久也が俺を見ている。
俺は通話ボタンを押して、携帯を耳に当てた。
「高良、おはよう! もっと早く起きて支度しろよなっ!」
「…なんだよ佐久ちゃん?」
目の前に本人がいるのに、向かい合って携帯で通話する。
「ケータイでモーニングコールって手もあるよね!」
「あ…ああ、そうだな」
どうやら塚本の、携帯わんこの話で気が付いたらしい。
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