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それぞれのマイウェイ 10
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「”お目覚めのチュー”……毎朝は無しだからなっ!」
僅かに頬を染めた佐久也は、そう言うと俺が薄く開いていたドアの隙間を押し広げ、廊下へ飛び出して行く。
『毎朝は無し』という事は『たまには有る』という事か!?
なるほどね…機嫌が良かったのは、こうやって俺を驚かすことを企んでいたからか。
はは……参った。
思わぬ佐久也からのオプション追加に顔がニヤける。
「いつまでもアホ面してると置いてっちゃうからな!」
おいおい『アホ面』違う…嬉しくってニヤケてんだけど!
まったく…本当に、佐久也は俺の計算通りにいかないな……。
そうだ。
来年は毎朝佐久也に触れることは叶わなくなるけれど、甘い言葉を交わすモーニングコールを提案しよう。
きっとまた『高良は良くても俺は同室者に聞かれるんだからな!恥ずかしい!!』と凄く嫌がるんだろう。
でも…それでも必ず、俺の想いを汲んでくれるはずだ。
それどころか…どんな計算外なサプライズが待っているのか、期待をしてしまう。
「高良!ボヤッとしてたら本当に置いてっちゃうぞ!」
廊下に出て佇んだまま動こうとしない俺に、先を行く佐久也が叫ぶ。
「佐久ちゃ~ん…身体がまだ起きてないみたいで動け~ん!」
言って、ニヤリと笑ってみせる。
「もぉ~みんな食堂で待ってるんだからね!」
文句を言いつつ、佐久也は俺の所まで引き返してきて手を差し伸べる。
その手を取った俺にニッと笑う。
「行くよ、おじいちゃん!」
「はぁ?」
「前々から思ってたんだけどさぁ、身体が動かないとか言うこときかないとか…"お兄ちゃん"ってよりは、"おじいちゃん"だよね!」
佐久也はクスクス笑いながら、俺の手を引きゆっくりと歩き出す。
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