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独裁者
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「………噂通りの意味不明な奴だな。ふざけてないで帰れよ」
とんでもない発言をした瀧澤に由良がアホらしいと前髪を掻き乱しながらボヤくと、瀧澤は壁に掛かっている時計へ視線を向けながら告げた。
「残り1分。言っとくけど、本気だから」
視線を戻して警告してくる瀧澤に由良の背筋に悪寒が走る。
身の危険を感じる圧迫感に困惑した。
平和的解決方法は分かっている。
瀧澤の言う通りソファへ座ればいいのだろう。
そうなんだろうけど、どうしてもそれは自分のプライドが許さなかった。
同時に瀧澤の言葉が冗談だと思う反面、もしかしてと不安に駆られた。
華奢な自分とガタイの良い瀧澤。
本気で迫られたらはねのける事は不可能に近そうで由良はどんどん焦り始めた。
「残り30秒」
カウントが入り、由良は声を張り上げた。
「や、やめろよっ!」
「20秒」
「おい!聞いてるのか!」
「……15秒」
「数えんなっ‼︎」
焦りを露わにする由良を瀧澤は無表情でただただカウントを続ける。
「5、4、3……」
由良は見えない恐怖に本格的に恐れを抱き始め、瀧澤から遠ざかるように部屋の隅へと逃げた。
「2、1、0……。タイムオーバー」
きっちり時間を計った瀧澤は時計から由良へと視線を向け、ゆっくりとソファから立ち上がった。
「く、来るなっ!」
青褪めた顔で叫ぶ由良へ瀧澤は大股で距離を縮めていく。
由良は逃げようにも瀧澤を遠ざける事だけに集中し過ぎて、扉から一番遠い端の壁に逃げ込んでしまったが為、逃げ場所はなく、狼狽える事しか出来なかった。
「自分で服脱げよ。そしたら優しくしてやるから」
黒い瞳が妖しく揺らいで、由良は瀧澤の本気を感じた。
「ま、待って!行く‼︎そっちへ……、ソファへ行くから‼︎」
「もう遅い」
プライドも何も投げ捨てようとした瞬間、瀧澤はニヤリと笑って由良との距離を一気に詰めた。
目にも留まらぬ速さに息を呑んだ次の瞬間、目の前に瀧澤の顔が広がって由良の身体は硬直した。
「ッ……!」
肩を竦め、壁に後頭部を打ち付けるほど後退ったが、気が付けば瀧澤に腰を引き寄せられ、噛み付くように唇を奪われていた。
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