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本日の全授業が終了する鐘が学校中に響き渡り、由良は教科書を鞄の中へとしまった。
今日は朝、瀧澤に会ったっきり、由良は瀧澤と遭遇することはなかった。
階段下での出来事がよほど不服だったのか、あのまま瀧澤は授業をサボって帰ったようだ。
由良にとっては有難かったが、何となくバツが悪くも感じ、心の中がモヤモヤした。
今日会わなくても同じクラスなふだけに、明日は会うこととなる。そうなると、瀧澤との微妙は関係に何となく居心地が悪くもあった。
「……帰ろ」
モヤモヤしてても仕方ないと、自分へ言い聞かせ、由良は小さくぼやくと席から立ち上がり帰宅することにした。
「結城君!」
下駄箱で靴を履き替え、校門を出ようとした時、後ろから呼び止められ、由良は振り返る。
そこには同じクラスの男子がいた。
「……何?」
申し訳ないことに、あまり人と関わらない由良は接点がない人間の名前は覚えない。
なので、クラスメイトとして顔だけは認知しているものの、彼の名前までは知らなかった。
「帰りに呼び止めてごめんね。瀧澤君のことなんだけど……」
控えめな性格なのか、口調が少しビクついていて弱々しい印象を受けた由良は特に悪い気はしなかったが、瀧澤の名前が出た事に眉がピクリと跳ね、無意識に眉間に皺が寄った。
「……瀧澤が何?」
なかなか先の言葉を言わない男に由良の口調が少しキツくなる。
男は眉を垂らして申し訳なさそうに口籠もりながらも用件を口にした。
「あ、あの、瀧澤君のことなんだけど……、その、えっと……、つ、付き合いだしたって聞いて……、本当なのかなって…」
「はぁ?何、その嘘の内容。僕があんな奴と付き合うわけないじゃん。もしかして噂とかになってるの?」
信じられないと、由良が心底嫌そうに顔を歪めて否定すると、男の顔がパァーっと明るくなった。
「ち、違うんだ!噂とかじゃなくて、瀧澤君が言ってたから!でも、結城君からはそんな感じしないし、本当かなって…」
赤い顔で早口にまくし立てる男に由良は意味が分からないと小首を傾げた。すると、恥ずかしそうに男は訳を話した。
「えっと……、その、不快にさせたならごめんね。俺、瀧澤君の事が好きで…。友達以上恋人未満みたいな関係だったから、気になっちゃって……」
俯く男に由良はセフレかと、呆れた顔をした。
瀧澤のあのルックスならモテるのは当たり前で、自分への手の早さと、こなれたあの行動を考えるとお手つきの子が複数いてもおかしくないと由良は納得した。
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