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俺という成り立ち01
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檜佐木という自分の苗字が嫌いだ。
自分の容貌も、そして血も。
「檜佐木」という苗字は、古くから妖しものと縁深い名だ。
まだ、人間と妖しものが共存していた頃。
人は妖しの爪や牙を逃れる為に、俺の先祖の一族を差し出したのだ。
女も男も拘らない妖しもの達によって、皆犯され、手足を喰われ、
それこそ地獄絵図の様だったと聞く。
「檜佐木」は妖し達に股を開き、春を売る「鬻(ひさ)ぐ」から来ているのだと、
子供の頃祖父から教わった。
事実として、妖しものは現代にも存在している。
街と山河で住処が完全に別れた今となっては、見る機会も少なくなったけれど。
そして檜佐木一族の血肉は妖しにとっては大層美味らしく、
祖父も左腕は無い。
だがその時、俺にはありがたい契約をしてくれたと聞く。
襲われた時、左腕と引き換えに、当時既に母の体の中に俺がいた事を知っていた祖父は、
「孫は食わないし食わせない」と、その妖怪に約束を取り付けたらしい。
…がしかし。
俺は祖父以外に家族がいない。
俺がまだ幼稚園に上がるかどうかという頃に、
両方、妖怪に食われた。
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