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商品 3
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〔碇流(いかり りゅう)side〕
「珍しいお客様ですね」
小さなビルのような建物のインターホンを押すと、黒いスーツを身にまとった眼鏡の胡散臭い男が出迎えた。
「客じゃない。ここのオーナーに呼ばれて来た」
「失礼、冗談です。碇さんですね。どうぞこちらへ」
冗談だというわりにはニコリともしない。
男に促されるまま薄暗い屋内へ入った。
そこにはひとつのエレベーター以外何も無い。そのエレベーターを使って地下まで降りる。
地下に着いてエレベーターを降りると、そこには異様な光景が広がっていた。
鉄格子に閉じ込められた何人もの子供。男女関係なく顔の整ったやつが多い。
「これらは商品ですよ。碇さんも気になったものがありましたら遠慮なく声をかけてください」
店頭に並ぶ商品を勧めるような感覚で話す。
「商品」と言われてみれば確かにここは、種類豊富な動物を展示するペットショップと似た雰囲気を感じる。
展示されているのは犬でも猫でもなく人間なのが1番の問題なのだけど、この業界では特別珍しくもない。
罪のない子供が大人の玩具にされ、好き勝手に使われるのなんて見飽きているし、今更何も感じない。
”商品”の並ぶ廊下を進み奥へ案内されると、この牢獄のような質素な地下には似合わない普通の扉があった。
一般家庭の一室の扉みたいで、逆に違和感がある。
「こちらです」
中には中年の男が1人と、その男の隣にスーツの男が2人いた。
ここに着く前にも廊下に何人かスーツの男が立っていたけど、その全員表情も動きも機械じみていて人間味がない。
人間味のあるやつがこんな所にいたら、それはそれで気持ちわりぃけどな。
「待っていたよ碇流くん。君の噂は常々聞いているよ。その若さで君ほど腕のたつ闇医者はいないらしいじゃないか。今やこちらの世界で君の名前を知らない人はいないよ」
中年の男がニコニコ機械的な表情で笑いかけてくる。
おそらくこいつがここのオーナーだろう。
「お世辞はいい。要件は?」
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