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モノ 3
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【4年前】
「ねぇ、そこのお兄さん。僕のこと飼ってくれない?」
闇医者としてかなり名が売れてきた頃、突然現れてふざけた事をぬかす少年と出会った。
やたらと顔の整ったガキ。生意気そうなデカい目が生意気そうに細まる。
「そういう趣味はねぇ。他当たれ」
「あーあ残念。僕みたいな美少年を好きにできる事なんてそうそうないよ?今までの人達は皆喜んで受け入れてくれなのにな〜」
人懐っこい笑顔で俺の周りをウロウロする少年を引き剥がすと、少年は残念そうにしながらも諦めたのか「またねお兄さん」とどこかへ消えていった。
その日の夜。仕事を終えて自宅へ帰ると、ドアの鍵が開いていた。
裏社会で生きていれば命を狙われることなどざらにある。
何者かが家に侵入している可能性を警戒し、メスを袖に忍ばせた。
慎重に家に入り、物音が聞こえるリビングの扉を開ける。
そこには、人の家で漫才のテレビを見ながら笑い転げている昼間の少年がいた。
「あ、おかえり〜」
少年が呑気に笑って手を振るのと同時に、少年の髪を掴んで反った白い喉にメスの刃をあてた。
わずかに皮膚にくい込んだところから血が滲む。
それでも少年は怯むことなくニコニコして「殺さないんだ。優しいね」なんて言う。
「お前何者だ。どうやって侵入した」
俺の質問に、少年は右手を上げてぎゅっと握った。そしてひらりとその手を開くと、何も無かったそこに見覚えのあるカードキーがあった。
「これ、なーんだ?」
手品の種明かしをする子供のような口ぶり。
どこからどう見ても少年の持っているカードキーは俺の家の鍵だ。
「お昼にお兄さんとお話してた時にちょっと借りちゃった。はい、これ返すね」
「………お前、何者だ?」
同じ質問を繰り返す。少年は天使のような笑顔を浮かべた。
「マシロ。ただのコソドロだよ。
ねぇお兄さん、僕のこと飼ってくれない?」
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