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名前 3
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日中は自室にこもって、お腹がすいた時だけ出てきてご飯を作ってまたこもる。
夕方になるとカバンを持って外出する。
そして真夜中に帰ってきて、俺を見ては嫌そうな顔をする。
飼い主はほとんど毎日このサイクルを繰り返していた。
たまに日中でも電話がかかってくるとカバンを持ってどこかへ行っていた。
この家に来てからもう何日経ったんだろう。
飼い主は俺にあまり干渉しない。
仕事で疲れているのなら俺を殴ってスッキリすればいい。
俺の目が気に入らなくてイライラするなら目を潰してしまえばいい。
「これをしろ」と命令すればその通りに動くのに。
どうして、たまに俺の顔を見て複雑そうな顔をするのかな。
「お前やりたい事とかねぇの?」
やりたいこと。
「自分がどうしたいかくらいわかるだろ」
自分が、どうしたいか。
分からない、知らない。
そんなこと言ってくる人今までいなかった。
俺の事は全部他人が決める、それが普通だったから。
ああほら、何も言えない俺を見てまたイラついた顔をする。
飼い主はきっと、俺が嫌い。
以前の飼い主たちとは少し違う。目も声も雰囲気もどこか嫌悪をはらんでいて、どうしたらいいのか分からない。
寧ろ感情任せに殴ってくれた方がわかりやすくて楽だ。
殴られている時は自分のするべきことがはっきりしているから。
飼い主が飽きるまで、じっとして終わるのを待つだけ。
それが1番楽だった。
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