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「脱水と栄養失調ってとこだろうな。倒れるまで何も口にしねぇとかアホかお前は。次は倒れても放っておくからな」
だっすい………えいよう……?
難しい言葉を使われてもよく分からない。
仕事で疲れてイライラしてるのか、いつにも増して不機嫌そうに話す。
セックス……するんじゃないの?
「いるなら食えっつっただろ。何で普通の生活力もねぇんだよ、腹が減るのなんか人間の感覚だろ」
「…………」
「チッ、その死んでもいいみたいな投げやりな態度が頭にくるんだよ。死にたいならさっさと死ねばいいのに何でまだダラダラ生きてんだ」
どうしてまだ生きてるのか。だって「死ね」と命令されていないから。
あれ……?違う。
「死ね」とは命令されていないけど「死ぬな」とも命令されていない。
それなら、どうして俺は「生きろ」と言われてもないのに、今も生きているんだろう。
───“し、しに、ったぃ……………死にたい……“
あの日、初めて口にした俺の“望み“。あれが最初で最後。
あの日から、死にたいとも生きたいとも思わなくなった。
思ったらダメだから。思っても意味が無いから。
もう感情なんて捨てた、望みなんて持ってない。
……………はずなのに、おかしいな…………気を失う直前、俺は確かに、もう目が覚めない未来を想像して、少し、ほんの少しだけ、嬉しかったんだ。
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