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「眠いか?」
ビクッと体を固まらせてゆっくり俺を見上げる。
明らかに眠気を感じているはずなのに、俺の様子を伺っているのか、うんともすんとも言わない。
「寝たいなら寝ていいんだぞ」
「…………………」
ゆっくり小さく首を傾げた。
こいつは自分の意思が行動の元になることを上手く理解できないようで、こういった手の言葉にはいつも混乱している。
「何を言っても怒らねぇから、俺が聞いたことには正直に答えろ」
やはり命令された方が動きやすいらしく、この言葉にはゆっくり頷いた。
もう一度眠たいかと聞くと、今度はすんなり頭を縦に動かす。
「よし」
ほとんど命令を聞いただけな気もするが、今は自分の気持ちを表すことができれば上出来だ。
頭に触る瞬間は少し体が強ばるが、撫でると徐々に力が抜けて代わりに不思議そうに首を傾げる。
「眠たい時は眠れ。自分がしたいようにしていいから我慢するな」
そいつは不安そうに少し間を空けながらも大人しく横になった。
また撫でると、一瞬固まってすぐに眠りに落ちていった。
基本的に根は素直な奴だから「やれ」と言われたことはするし「これはこうだ」と言われたら分かっていないながらにも信じる。
そのおかげで割とすんなり“恐怖“がどういうものか分からせることが出来たが、逆に言えば今は恐怖しか分かっていない状態だ。
その状態がずっと続けば心身共にかなり負担が大きいから、早めに他の感情も教えてやらないといけないな。
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