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名前 19
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そういえばこいつの名前知らないな。
いつも「おい」や「お前」で呼んでいたから、考えた事もなかった。
こいつの名前に関しては少し興味が出て、志樹と一緒に答えを待っていると、当の本人は首を傾げながら俺を見た。
「…………リュウ、は……名前………?」
「は?」
一体何を言っているのかと、志樹と顔を見合わせた。
「あ、そういえば俺の名前も教えてなかったな」
「はあ?なにそれ。一緒に住んでるのにお互いの名前も知らないなんてどんな関係なわけ」
「忘れてたんだよ。こいつ俺の事呼ばねぇし」
俺を呼ばないだけでなく、喋るようになったのだってつい最近だ。
すっかり知っているもんだと思いこんでいた。
まあ別に名前なんて教えなくてもいいだろ。
そう考えている俺をじっと見てくる2人の鬱陶しい視線に負けて、ガシガシと頭をかいた。
「碇だよ、碇流。……で、お前の名前は?」
そいつは少し考える素振りを見せて、ゆっくり首を横に振った。
「名前ねぇの?」
「ん…」
生まれてから1度も、1人の人間としての称号すら与えられてこなかったのか。
何故そんなことを聞くのか、とでも言いたげに見える表情をして俺を見る。
俺は何も言えなくて、その小さすぎる頭をワシワシと撫で回した。
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