アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
記憶 14
-
「死にたがってんのかと思ったら、お前はただ恐怖からの逃れ方を痛みしか知らねぇだけってことか」
だったら最初からそう言え、とぶっきらぼうに言い捨てるのに、俺の背中にまわしている手は優しいままで。
……………イカリさん、もしかして………照れてる?
「……で?まだ怖いか?」
そう言われて気がついた。自分でも驚くほど恐怖はどこかへ消えていて、戸惑いながら頭を振る。
「次から怖いと思った時はすぐに俺のところに来い。怖いのは嫌なんだろ」
「ん」
「面倒だけど少しなら相手してやる。我慢してまた暴走でもしやがったら許さねぇからな」
「ん」
「本当にわかってんだろうな……」
「ん……」
頭上で聞こえる心地よいイカリさんの声。
布団の中にいる時の方がずっと温かいはずなのに、イカリさんの胸の中は不思議と眠たくなる。
眠ったらまた夢を見てしまうのかな……。
夢の中ではイカリさんの体温を感じることも出来ない。
…………いやだ、眠りたくない。
「うなされてたら起こしてやる」
まるで俺の心を読んだかのようにそう言って、くしゃ、と頭を撫でられた。
次第に重くなっていく瞼に抵抗をやめて、イカリさんの鼓動を聞きながらゆっくり意識を手放した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
59 / 256