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誕生日 17
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「生まれてきてくれてありがとな、シロ」
聞こえた言葉に耳を疑って何度も瞬きをした。
俺は、イカリさんに何もしてない。
”ありがとう”と言われるようなことなんて、なにも、出来ていない。
「お前と出会うまでは、この景色を綺麗だなんて思わなかった。虫が飛び回ってるだけだからな。
でもお前がいると、ただ飯食ってんのとか一緒に寝てんのとか、そんな何でもねぇ日常も案外悪くねぇかもなって思える。
俺の世界に色をつけてんのはお前なんだよ、シロ」
なに、言ってるの………。
それはイカリさんだよ。イカリさんが、俺に全部与えてくれるんだ。
何も無かった俺に、世界を教えてくれたのはイカリさんなのに。
「シロがいてくれて良かった」
そんなことを言うから、心臓が音もなくキューっと痛くなる。
苦しいような、心地いいような、変な気持ちになって混乱する。
「おれ…………なにも………」
「お前が思ってる以上に、俺はお前から色んなもん貰ってんだよ」
何も言えず固まる俺に、イカリさんは楽しそうに笑った。
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