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マシロ 1
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夕飯に使う材料を買いに行くため、一緒にスーパーに行く。
俺はイカリさんの買い物が終わるまで車で待った。
もし俺が人に慣れたら、車の中で待つんじゃなくて、一緒に行ったりする事もできるのかな。
少しでもイカリさんと離れてしまうと生きている心地がしなかった。
元から死んでいるみたいなものなのに、今さら生きている心地なんてどうして感じる必要があるのかと、可笑しく思う。
「待たせたな、帰るか」
「ん」
車内は会話ひとつないけれど、イカリさんの匂いが充満していて落ち着く。
このシートベルトだって、イカリさんも同じものをしているのだと思うと不思議な気持ちだ。
車を降りて歩く時、イカリさんの斜め後ろを歩くのが俺の定位置だった。
「イカリさん」
「あ?」
「それ、おもい?」
ビニール袋を持ったまま片手で鍵を取り出すイカリさんは「持ってみるか?」と俺に袋を渡す。
それを受け取った瞬間、予想外に重くて持ちきれなかった荷物がドサッと床に落ちた。
イカリさんはあまりにも軽々持っていたから、そこまで重たくないのかと思っていてびっくりしてイカリさんを見上げる。
「ははっ、お前には重かったか」
こうなる事が分かっていたように笑うイカリさんに、心臓がきゅっとした。
「イカリさん、おもくない………?」
「ああ、お前が非力すぎるだけ……」
ピタ、とイカリさんの動きが止まる。
急に真剣な顔になったイカリさんは、さしたはずの鍵をポケットに戻して扉から一歩下がった。
「……?」
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