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マシロ 2
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イカリさんは、俺の前を塞ぐように立って、何処からか取り出した小さなナイフを袖に隠した。
イカリさんが料理以外でナイフを持つところを初めて見て、背筋がゾクッとした。
イカリさんは痛いことをしないと分かっているはずなのに、胃の中が冷たくなって思わず後ずさる。
「離れるな」
低い声で言われてビクッと揺れる。
震える呼吸を隠して固まっていると、大丈夫というように頭を撫でられた。
イカリさんは慎重に扉を開けて部屋へはいる。
物音を立てないように静かに進むイカリさんにつられて、俺も静かに歩いた。
何してるんだろう、イカリさん。
リビングの床に買い物袋をそっと置き、キョロキョロしている。
「………なにか探してる?」
俺がそう零した時、トイレの水が流れる音が聞こえて飛び跳ねるほど驚いた。
イカリさんもその方向を警戒して俺の前に出る。
なんで、なんで音が鳴ってるの。イカリさんも俺もここにいるのに。
……………だれか、別の人がいる?
バクバク暴れる心臓を服の上からぎゅうっと握りしめた。
誰がいて、何をされるの。
パカッとトイレのドアが開いて、あまりにも普通に姿を現した男の人。
「あれ、おかえり〜」
目が合うと、まるで天使のような笑顔が咲いた。
「おっひさ〜、お兄さん」
キラキラと光を纏った、
俺と同じ顔。
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