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マシロ 9
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翌朝目が覚めると、俺はベットの中央に移動していて、イカリさんの姿はなかった。
寝室の扉が少しだけ開いていて、きっとイカリさんは先に起きてご飯を作っているんだと思って急いでベットを降りた。
イカリさんが隣にいないとマシロさんへの恐怖が強くなって、早くイカリさんの顔が見たいと思う。
「ねぇねぇ、これどう思う〜?よくない?僕これ欲しい!」
「買わねぇぞ。住み込むつもりだろお前。新しい金ヅル見つけたら出ていくって約束忘れんなよ」
「分かってるよもう!」
「というかくっつくな、暑苦しい」
「あ!お兄さんこれ好きだったよね!続編が映画になるんだって〜。一緒に観に行かない?」
「へぇ、映画ね。お前とは絶対行かねぇけどな」
2人の話し声が聞こえて、何故か寝室を出ていけなかった。
そっと隙間から様子を除く。
ソファに座って、じゃれるようにくっついたりひとつの携帯の画面を一緒に見たり、誰も寄せ付けない2人だけの距離感。
昔からずっと一緒にいるみたいな雰囲気に喉の奥がチリチリして仕方がなかった。
「そういえば”アレ”どうすんの?まだ捨てないの?」
「ああ、そうだな。もう飽きたし、そろそろ捨てるか」
飽きたとか、捨てるとか、今まで何度も俺に向けられてきた言葉。
もしかしてって思ってしまうのは、どうしようもなくて。
「なんだ起きてたのかシロ」
パッと顔を上げると、イカリさんがこちらを見ていてドキッとする。
なんだか悪いことをしているような気持ちになった。
半分しか開いていない扉をイカリさんが全部開けて、ぽんぽんと叩かれる。
「飯食うか?もう昼前だし腹減ってるだろ。すぐ作るから待ってろ」
「ん」
お腹は、あまり空いていなかった。
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