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別れ 11
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さっきより弱く、小さく首を横に振る。
初めて、サクマさんの言葉を拒否した。
サクマさんは顔色を変えず、そうですか、とひとこと言って、俺の襟首を掴んでガッと引き寄せた。
小さくて細い体は簡単に外の廊下へ引きずり出され、後ろで扉がガチャンと閉まる音がする。
「おや、ずいぶん肉付きが良くなりましたね。それにキレイな服も着せてもらって、傷もだいぶ癒えてます。以前までは犬のような扱いでしたのにね」
かかとが浮いて呼吸がしずらい。
品定めするような視線が懐かしく思える。
「反抗的になってしまったのは少々残念ですが、まあ人間味が出てきたってことなんでしょうかね。どうでしたか、ここでの生活は。楽しかったですか?」
ふ、ふ、と呼吸をするのに精一杯で何も言えずにいると、どんどん高く持ち上げられつま先が床から離れそうになる。
苦しくて声が漏れた。
「まあいいでしょう」
パッと手が離され、後ろによろけながらゲホゲホと咳をした。
サクマさんはパンパンと手を払って俺見る。
「実は碇さんから貴方を捨てたいと連絡をもらいましてね。今日は貴方を引き取りに来たんです」
時が止まったように周りの音が何も聞こえなくなった。
いま、なんて言ったの。
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