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恋 12
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マシロは何を考えているかわからない奴だけど、基本的に他人に興味がないから、こうやって特定の誰かに嫌悪をむき出しにする姿は初めて見る。
「なんでそんなにシロを目の敵にする」
これは予想外の質問だったのか、マシロが一瞬目を丸くした。そして困ったように笑う。
「…………わかんない?」
その表情が少し寂しそうに見えたのは、きっと見間違いだ。
無駄にシロと似てるから、そんな顔をされると胸がザワついてしまう。
「僕ね、本当は覚えてたんだ。ひなたくんのこと」
ひなたくんは本当に忘れてるみたいだけど、と言ってソファの背に座る。
むやみやたらにシロを探し回るよりマシロを満足させて居場所を聞き出した方が早いと判断して、渋々マシロの話に付き合うことにした。
腕を組んで壁に寄りかかった俺を見て子供みたいな顔で笑うから、何だかイライラしている俺の方がバカに思える。
マシロの笑顔には人の毒気を抜く魔法でも宿ってそうだ。
「昔から僕らは正反対だったよ。誰にでもニコニコ懐いてわがままばかりのひなたくんと、いつもひなたくんの後ろに隠れて人の言うことばかり聞いていた僕。
……あは、想像できないって顔してる。
僕らはずっと2人だった。あの日も2人で公園でかくれんぼしてた。でもひなたくん、途中で僕を探すのに飽きちゃって1人で遊びだしちゃったんだよね。僕はそれが"僕はいなくてもいい"って言われてるみたいで悲しかった。
僕はひなたくんがいないとダメなのに、ひなたくんは僕がいなくても平気なんだって思っちゃって。
だから公園を抜け出して、"僕だって平気だ"って変な意地張って帰らなかった。まさかその後変態ジジイに捕まるなんて普通思わないじゃん?まあ僕、その頃から超絶可愛かったから仕方ないけど」
自分の話は滅多にしないマシロの昔話。
聞けば聞くほど作り話なんじゃないかと思うほど今のマシロとはかけ離れた子供時代だ。
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