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帰る場所 12
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「壊れてねえよ、これ付け外し出来るやつだろ。貸してみ」
アズマさんは壊れてしまったイカリさんからのプレゼントを俺の手から取ると、どこにつけてあったのかだけ聞いてあっという間に直してしまった。
また飾りがついた足首を見ると、じんと体が温まるような気がして不思議だった。
”そういう時は「ありがとう」だな”
イカリさんの言葉を思い出す。
そうだ、確か、こういう時が”ありがとう”だった。
「あ、ありがとう………アズマさん」
アズマさんは俺の言葉に複雑そうな顔で首を掻いた。
何か間違えた……?
「………アズマじゃねぇ、ミヤビだ。葵 雅(あおい みやび)」
「名前、ふたつ……」
「まあ……うん、そうだな。間違ってはない」
俺と同じだ。
アオイさんも誰かに名前を貰ったのかな。
「お前は悪いやつじゃなさそうだから言うけど、アズマにはあんま近寄るな。あいつは”普通”じゃないんだ、関わんない方がいい」
「………?アオイさんは……アズマさん」
「俺はアズマじゃないって言ったろ。それに雅でいい。葵って呼ばれんの好きじゃない」
パンの袋から最後の1枚を取り出して食べるミヤビさんは、夕食を食べている時と利き手が逆だった。
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